『き』のDoしような話 木

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僕は今Doしようか悩んでいる。
木の上に登って降りられないからだ。
登ってくる時はスルスルっていけたのに、いざ降りるとなるとこうも怖いとは知らなかった。
お兄ちゃんが木登りが得意でお猿さんみたいに木に登って降りる時もスルスルっていけてたから僕にもできるかと思ったのに。

始まりはお兄ちゃんと公園で遊んでる時に、今日もお兄ちゃんは木登りできることを自慢してきたからだ。僕が登れないと思って自慢してくる。
だから僕は怒ってお兄ちゃんよりも大きな木に登ってやった。
お兄ちゃんも僕にびっくりして。ポカーンとした後に褒めてくれた。

困ったのはそれからだ。登りはできたが降り方がわからない。
登ってくるのも勢いで登ってきたので覚えてなくて、お兄ちゃんも僕が登った大きさの木には登ったことがなくお兄ちゃんもどうすればいいかわからない。
怖くなった僕は大声でお兄ちゃん助けてと泣き叫んだ。
お兄ちゃんは自分ではどうしようもできないので、誰か呼んでくると言ってどこかに行ってしまった。

どうしよう。今お兄ちゃんが助けを呼びに行ってくれてるけど、自分で登ったのに降りれなくなって助けてもらうのは嫌だ。
だからお兄ちゃんが戻ってくる前に自分で降りて、自分だけで上り下りできるってことをみんなに知ってもらうんだ。

でもさっきお兄ちゃんに助けを呼びに行く様お願いしたのは僕だからもうその時点でだめな気がするけど。もうそれはそれ、あの時の僕とは違うんだ。

よし葉っぱを落としてみよう。
近くにある葉っぱを千切って。クルクル回りながら落ちてる。
この遊び楽しいな。あ、違う違う。大体5秒くらいだな。
そう考えると、飛び降りるのは危ないし何より怖いから無理。

あ、お兄ちゃんが近くの交番のおまわりさんを呼んできてくれた。
おまわりさんは太っているから木に登って僕を助けてくれるのは難しい。
だからおまわりさんは、下でキャッチしてくれるから飛び降りろという。

いや無理だ。さっき葉っぱを落として5秒もかかったんだ。
飛び降りられるわけがない。
でも太陽が沈んできてこのままだと夜になってしまう。
そうなったらママに怒られる。
その方がもっと嫌だ。

僕は意を決しておまわりさんに向かって飛び降りた。
勢いが有ったのか少し遠くに飛んでおまわりさんを超しそうだったが、おまわりさんがジャンピングキャッチしてくれた。
そして僕は無事に木を降りれた。

その後僕とお兄ちゃんはおまわりさんにお礼を言って家に帰った。
おまわりさんとさよならする時僕に
「よくジャンプできたね。格好良かったぞ」
と言って頭を撫でてくれた。
僕はお兄ちゃんに木登りを褒められるよりも嬉しかった。

それが有ったから僕は今こうやっておまわりさんをやっているんだろうな。
そんなことを考えていると、1人の男の子が尋ねてきた。
「おまわりさん、鍵の落とし物ない?」完

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